四診で重要なこと
東洋医学において、四診は非常に重要な診断基準です。
望診・聞診・問診・切診の4つですね。
では、これらをどのように重要視していますか?
ほとんどの方々は問診か切診です。
お薬の方々は主に問診、鍼などの方々は切診だと思われます。
しかし、ここで立ち返ってもらいたいのは、どのような古典、参考書を読んでも、必ず「望・聞・問・切」の順番であることです。
つまりこれは、「望診が一番大事である」と読み解きます。
古典などは特に、最初に結論が書かれているのです。
しかし、現在の東洋医学では、望診より他の診断を優先する傾向があります。
これは間違いです。
「診る」とは「見る」ことに始まるのです。
私は望診と聞診で証を八割決めます。
あとは、その証が正しいかどうかを、問診、切診にて確認していくのです。
こうしなければ、本人が気づいていない「未病」に気づきにくいのです。
私たちは、本人が気づいていないことにも気づき、それを早期に解決することが求められているからですね。
弁証というのは、今を見ることで、今までを理解し、これからを予測することです。
これからの最終地点は「死」だということは、以前お話しさせていただきました。
ですから、「人を診る」ということは「道を見る」ことなのです。
その人の人生を見るのです。
東洋医学の診断において大事なことは、理論は二の次だということです。
「象を以て臓を測る」のです。
正しく象を測るための四診を磨くことが、正しい診断に繋がります。
外邪に負けるということ
新型コロナウィルスの流行でマスク着用や咳エチケットについて、あまりに社会が過敏になっているように見えます。
当然、西洋医学的に見れば、移す方も問題です。
これがパンデミックを生むと考えられているからですね。
しかし、東洋医学的に考えればそうではありません。
移す方が悪いのではありません。
移る方が悪いのです。
どんな状況であっても、他人を悪にした時点で、東洋医学は終わりです。
邪と戦うのは自分だからです。
病気になるのは、どんな状況であっても、自分が邪に負けることを指すのです。
この記事を思い出してください。
hoshinozaregoto.hatenablog.com
これが揺るげば、東洋医学は崩壊します。
自己治癒力の向上が目的だからですね。
自分の中の邪と戦えるようにするのが東洋医学です。
今は自分の「軸」を見定める時期のように感じます。
新型コロナウィルスの影響で仕事を辞めたり、失ったりすることもその影響かと思われます。
「軸」が定まっていない人は、ここで振り落とされるのです。
戯言 ~祖母の言葉~
ふと、小さいころに、ばあちゃんに言われた言葉を思い出しました。
「みんなが嫌がることを進んでやりや。誰かに言われてできることは、誰でもできることやで。そんな人は、誰か以上にはなれやん。誰もできんことをやろうと思うんなら、誰かに言われる前に、人が嫌がるようなことを進んでやりや。」
そんなことを思い浮かべながら、今日も神社の境内を掃除するのです。
深く掘り下げるということ~これから東洋医学を学ばれる方へ その2~
皆さんはどの程度、深く掘り下げて考えておられますか?
例えば、薬膳の世界では、「酸甘化陰」という言葉があります。
酸味と甘味を合わせると、陰(潤い)を生み出すという考え方です。
では、なぜ酸味と甘味を組み合わせると、陰を生み出すのでしょうか?
この、「なぜ?」がわかっていない方が多いのです。
もし、仮に、酸甘化陰で陰を生み出すのであれば、お薬で最もシンプルな「芍薬甘草湯(芍薬+甘草)」で補陰が可能だということですよね?
それがわかれば、逆に、陰液は虚しているが、酸甘化陰で補ってはいけない方がわかります。
陰液が虚していれば、なんでも酸甘化陰で補えばいいのかというと、そうではありません。
逆に悪化する方々がいます。
それを知る為には、常に「なぜ?」と掘り下げる必要があるのです。
今の東洋医学、漢方医学では「魔法の言葉」のように普遍的に専門用語が飛び交っています。
これらは専門用語でありますから、専門家、つまり「専らその道に門を構える人」が使用するものであり、素人が少し勉強した程度で理解したと得るものではありません。
自分の言葉が人を殺すかもしれないのです。
いつも言いますが、東洋医学は「因人」です。
人によって違うのです。
ですので、これらを声高に叫ぶことは、とても危険だということをまず肝に銘じてください。
東洋医学の第一歩は、「東洋医学の怖さ」を知ることではないでしょうか。
戯言 ~春分~
今日は春分です。
今日から天の気(主気、客気)が変わりますね。
これで、流行病が収まってくれればいいのですが・・・。
とても基本的な話ですが、天の気は季節とともに変わるわけではありません。
天の気は6つで、季節(地の気)は5つだからですね。
ですので、外邪に関しては、基本的に天の気を見ます。
五運六気の考え方を重要視する治療家の方はあまりいませんが、流行病の予測などに大変役立ちます。
近日の新型コロナウィルスのような疫病の流行も予測されていた方が多いです。
私も、「一応、来年(去年末なので今年)のために多めにマスクとか買っておこう・・・。」と年末に買い込んでいたので、現状、特に慌てる必要もありません。
私はいつも「人」を診ると言います。
人を診るということは、「天」も見るし、「地」も見るということです。
「天神合一」思想は東洋医学の中核の概念です。
これを抜きにして東洋医学を語れません。
ですので、五運六気の概念は、東洋医学を学ぶ上で、必須だと考えています。
これを学ばずして、「季節(の養生など)」や「薬膳」、「外因邪」を説くことはできないからです。
今回の流行を機に、五運六気の概念を学び、これからの流行の予防、指導等に役立てていただける方が増えれば幸いだと考えています。
肥満より怖いもの
ここ数年で漢方がより身近になったおかげで、圧倒的に相談数が増えたのが「ダイエット」です。
「漢方薬で痩せる」という神話が世を蔓延っています。
漢方薬で痩せることがないのは皆さんも承知の上だと思います。
しかし、ここで本当に気をつけなければいけないことは、「ダイエットを希望する人」なのかということです。
この記事を少し思い出してください。
hoshinozaregoto.hatenablog.com
食べて太るのは、人間として当たり前です。
ですので、「どうしても食べてしまって・・・」という人は、身体は悪くなってしまっていますが、人としては普通なのですね。
問題は、「食べているのに太らない人」です。
私は「痩せの大食い」を一番マークします。
食べているのに太らないということは、身体に栄養として身についていないのです。
脾の運化の作用が失調しているのですね。
唐突ですが、ガンの方を想像してください。
食べてもどんどん痩せていきますよね?
程度の違いはあれど、体の中は同じなのです。
つまり、放っておくとガンと呼ばれる病気になる可能性があります。
まさか、痩せの大食いを放っておくとガンになると思った人はいないでしょう。
しかし、可能性は十二分にあります。
誤解を避けるため、もちろんならない人もいます。
ですから、私たちには、先日の記事でもお伝えしたように、この「異常」にいち早く気づき、大病を予防することが必要とされるのです。
ダイエットの相談に来られる方は、ほとんどが不内外因です。
ですので、それを改善すれば、適度に痩せられます。
しかし、痩せの大食いの方が相談に来られることはほぼありません。
それが悪いことだとは思ってないからですね。
ですが、脾気虚の方によくよく聞いてみると、「実はよく食べて・・・」とおっしゃる方が結構います。
本当に怖いのは「反」です。
そして一番怖い「反」は、「人として不健康」であるが「健康だと思っていること」です。
ですので、まずこれを改善するように、私たちは働きかける必要があるのです。
東洋医学の落とし穴~これから東洋医学を学ばれる方へ~
今日は少し趣向を変えて、タイトルのようなテーマでお話しします。
前回の記事で、「治療側の考え方が違う」ことをお伝えしました。
hoshinozaregoto.hatenablog.com
これにより影響が出てくるのが、教育活動です。
参考書や専門的なセミナー、果ては学会まで、考え方によって概念が大きく変わってきます。
しかし、学び始めたばかりの人は、例えば「実・虚」「寒・熱」など、簡単な言葉は受け入れやすいため、これらは共通の概念だと思っています。
違います。人によってそれすら概念が違うのです。
これが東洋医学を学ぶ初心者が最初にぶち当たるであろう壁です。
いわば、東洋医学の落とし穴です。
教える側すらそれに気づいていないことも多いのです。
ですので、私がまずお勧めしているのは、とりあえず古典を読むことです。
本当に東洋医学をやっていこうと考えるのであれば、遅かれ早かれ古典は避けて通れません。
まず、その覚悟を見ます。
パラパラ読みでもいいです。
できれば、原書を翻訳しながらをお勧めしますが、さすがにそれは初心者には・・・とも思うので、翻訳書を原書に照らし合わせながら読んでいくことをお勧めしています。
厳しい言い方ですが(何度も言っているのであえて言いますが)、古典を読んで何も残らないのであれば、東洋医学をやってはいけないのです。
分からなくてもいいです。
何かが残るはずです。
私は『黄帝内経』の「天にあっては、形なく声なく、始めも終わりもなく、空間・時間を超越して存在し、天地間の、あらゆるものの根源となる玄であり、人にあっては、霊妙な生命のはたらきの道であり、地にあっては万物の変化である化である。」という言葉に感銘を受けました。
今でも毎日朝起きて、窓を開け、まずこの文言を祝詞のように唱えています。
そしてそこから勉強していくと、様々な概念の違いに気づきます。
古典の概念は今の漢方医学にはほとんど残っていません。
そこで「何がどう違うのか?」を理解し、読み解いていくのです。
そして、自分に合っているのは何かという「学問を築いていくこと」が大事です。
東洋医学は創造の学問です。誰かに教えてもらうものではありません。
かくいう私はセミナーから入りました。
しかし、運よく良い師に巡り合えたので、これに気づき古典に立ち返りました。
私が思うに、東洋医学的に良い師というのは、「答えを教えてくれない」のだと思います。
答えは自分の中にしかないからですね。
以前もお伝えしましたが、東洋医学はどこまでいっても温故知新です。
故きを温ねる≒古典に立ち返るしかないのです。
ですから、数千年経った現在でも通用するのです。
これから東洋医学を学ばれていく方々には、良い師に出会えるよう願っております。