「不老不死の薬」はあるか?
そんなものはありませんよね(笑
しかし、これについてはいつも思うことがあります。
先日の記事で「腎虚」の話をしたときに思い出しました。
「腎」とは、人としての「命の根源」ともいわれ、「命門」という言葉がそれを表現しています。
つまり、腎が尽きれば、人は死にます。
これは東洋医学的に一般的に考えられていますよね?
では、「補腎」とはなんでしょうか?
腎を補うことですよね?
「地黄」に代表される生薬や、それらを中心とした「六味地黄丸」などの漢方薬は補腎の薬だといわれています。
それで、腎が尽きないように、補腎をしますから、これらのお薬を使用します。
そうすると人は死にませんか?
結論を言えば、私は「補腎」などないと考えています。
「補腎薬」といわれているものは、ほぼ全て「肝」を補い、「肝腎同源」の考え方から、腎の消耗を抑えているにすぎません。
もし、本当に補腎の薬があるのであれば、それは「不老不死の薬」です。
そして、この不老不死の薬を追い求めたのが「錬金術」です。
中国では「錬丹術」とも呼ばれています。
よくお薬の指導で、「腎が弱っているので、腎を補うお薬をお出しします」という類の指導を耳にします。
私には、「私は錬金術師で、あなたに不老不死の薬をお出しします。ですので、あなたは死にません。」と言っているように聞こえます。
私にも処方していただきたい(笑
けして、補腎薬を否定しているわけではありません。
私自身も飲んでいます。
しかし、大切なことは、「なぜそうなるのか」ということを、どこまでも追及していくことが私たちには必要であるということです。
「腎とは何か」「補腎とは何か」「肝腎同源とは何か」など深く掘り下げていくのです。
いつも言うことなのですが、東洋医学は「誰か」が答えを教えてくれる学問ではありません。
何が「理」であるかを知り、それを本(もと)に自分なりの答えを創造していく学問です。
ですので、みんな違っていいのです。
どうぞ、私の記事もご参考までに。