漢方薬と五味
漢方薬はまずくて飲めないという方がいらっしゃいます。
オブラートなどで包んで飲むなどされる方々がいらっしゃるようですが、それは間違っています。
飲み方が間違っているわけではありません。
「証」が間違っているのです。
中医学的に漢方をとらえる先生や医療従事者の方々は、「証」というものを診て、治療法を立てます。
難しい言葉では「弁証論治」と言います。
つまり、そもそも最初の証を診る段階で間違っているのです。
間違っているのは患者様(お客様)ではなく、こちらの医療従事者が間違っているのです。
患者様(お客様)はそれを教えてくださっているのです。
漢方薬というのは五味(酸・苦・甘・辛・鹹)という五つの味をもって、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きを改善します。
いつも言いますが、やれ補気や補血などではないのです。改善しているのは五味です。
五味とは「地の気」です。
「人」は「天の気」と「地の気」でできているからですね。
とても苦い「抑肝散」という薬を子どもに出しても、証があっていれば、喜んで飲みます。
「飲めない」ということは、証が間違っているのです。
ですから、証が間違っている薬を、「無理やり飲ませる」ことはとても危険です。
私たち医療従事者は、けして「患者様(お客様)のせい」にしてはいけません。
患者様(お客様)は「間違ってるよ~」と教えてくださっているのです。
それを真摯に受け止め、再度、弁証に励むのです。