未病の「病」とは何か?
「未病予防」という言葉がもてはやされています。
「未病」という言葉が使用された『黄帝内経』では、「聖人は未病を治す」と書かれています。
一般的には、「病気になる前の段階」と解釈されていますね。
では、いつから病気が始まるのでしょうか?
例えば、風邪であれば、一般的に「悪寒から」「鼻水から」「咽頭痛から」などと予測できます。
それをもって、漢方薬の使い分けをしています。
では、例えば、「ガン」の始まりはいつからでしょうか?
ガンマーカーで診断が出てからでしょうか?
それでは、「未病予防」にはなっていませんよね?
結論を言えば、「病」とは「イレギュラーな死」までの前段階と解釈しています。
イレギュラーでない死とは、いわゆる「寿命」「天寿」と言われるものです。
つまり、「未病予防」とは、この「イレギュラーな死」を避けることをいうのですね。
もう一つ突っ込んでいえば、「風邪気味で・・・」と相談されてきた方に、「これはガンの始まりかもしれない」と見抜くことが問われるのです。
「未病」とはそもそも、ほとんどが「本人は気づいていない」のです。
自分の「本」には、自分は見えにくくできていると以前お話しさせていただきました。
私たちが見抜かなければいけないのは、「病気」ではなく「死」です。
だからこそ、その方に「生を養うこと(養生)」を提案するのです。
私たちは、その方が見ているより、ずっと先を見ていなければなりません。
その上で、「今、何を提案するか」なのです。
しかしながら、「病気」になることが必ずしも悪というわけではありません。
これについては、やや宗教観が絡んでくるので、今回は割愛させていただきます。
病気で死ぬことに意味があることもあるのです。
ですから、「天寿」という言葉を使用しました。
「死」と戦うのは私たちではありません。
私たちは必死に「死」と戦っている方々を、ただ近くで見守ることしかできないのです。